About
プロジェクト紹介

Project 02
インバウンドプロジェクトが、
加速する。
訪日外国人旅行者の数はすでにコロナ禍前の水準を超え、インバウンド需要は大きな成長要素となりつつあります。2018年に発足したインバウンドチームは、2024年4月よりメディアプロモーション部へと移管。新たな時代に向けた戦略を展開し始めています。
他社に遅れて専門部署が発足。
コロナ禍でも情報を心待ちにする
アプリ会員に、
勇気付けられた
そごう・西武にインバウンドの専門部署ができたのは、2018年のことだ。ビザ発給要件の緩和や円安などを背景に12年頃から訪日外国人旅行者が急増、「インバウンド」はその頃の流行語にもなっていた。高い成長性をにらんでの専門部署発足ではあったが、当時スタートメンバーだったK.Nは、「他の百貨店ではすでに本格的な取り込み施策を展開しており、遅れてのスタートでした」と語る。それでも、入社以来15年間こども領域一筋で歩んできた彼女にとって、「ゼロから始める」仕事は楽しみで仕方なかったらしい。
「何もかも手探りでしたが、海外向けにSNSでの発信をしたり、海外で開催される旅行博に出展するなど、現地の人にそごう・西武の存在を知ってもらうところから始めました」

しかし活動が軌道に乗り始めていた20年の春に、コロナ禍が襲う。海外向けのアプリが立ち上がり登録者は順調に推移、次の施策を準備していた矢先のことだった。入国規制や緊急事態措置がとられ、店舗では訪日客はもちろん国内客の姿さえ消えてしまった。誰もが茫然自失となる中で、インバウンド担当のメンバーにはある動きが目に入っていたという。
「アプリを通して、当社の新しい情報を楽しみに待ってくださる海外のお客さまが数多くいることがわかったんです。これには本当に勇気付けられました」
紆余曲折を経てオンラインでの活動を再開。海外企業と組んで新たな顧客接点の場を立ち上げるなど、コロナ後を見据えての取り組みが始まった。再び店頭が賑わうとき、国内外全てのお客さまと従業員が笑顔で再会できるようしっかりと準備をしなければという使命感が支えになっていた。
新体制のもと、
インバウンドは重要戦略に。
「日本のお客様への当たり前を、
海外のお客さまにも当たり前に」
の理想実現に向けてリスタート

2022年3月に「まん延防止等重点措置」が終了し、入国規制が徐々に解かれて行った。店内はかつての賑わいを取り戻し、外国人観光者の数もコロナ禍以前を越えるまでに回復している。
2024年4月には当社の新体制がスタート。そこでインバウンドは、重要戦略のひとつに掲げられる。さらにチームがメディアプロモーション部に移管され、K.Nは担当部長としてインバウンド戦略を率いる立場となった。
「競合に比較し売上の規模の小ささを含め大きなビハインドを背負ってのリスタートでした。もちろんプレッシャーはありましたが、もう伸びしろしかないわけですから。新しい環境でのスタートを最大のチャンスにしようと思いました」
最初に取り組んだのは、これまでのやり方をリセットすること。コロナ禍の間に作り上げたツールやコンテンツも全て見直し、守りから攻めへ。プロモーション、とりわけ店舗への集客力を上げることに力を入れた。その際に心がけたのは「国内のお客さまと同じく、ニーズに合ったコンテンツを提供すること」だと言う。
「『日本のお客さまへの当たり前を、海外のお客さまにも当たり前に』。これはインバウンドの専門部署が立ち上がったときに、当時の担当部長が掲げたミッションです。その頃は深く理解できていなかったのですが、これからの道筋を思い描いたときに、自分たちの目指す本来の姿だとあらためて気づきました」
新組織にはプロモーションのプロフェッショナルが揃っており、たくさんの知識とアドバイスがもらえる。部内は無論、社内でも「インバウンド」という言葉が日常的に聞かれるようになった。店舗では従来の西武池袋本店と西武渋谷店に加えて、そごう横浜店でも積極展開が進められている。
社内公募で3年目社員が参加。
外商経験から見えたプロジェクトの本質
2024年10月から、チームに新たな戦力が加わった。Y.Y。2年前に新卒で入社し、そごう大宮店で上得意様を対象としたお得意様セールスに従事、社内公募によって自らの意志で異動してきた。
「私たちの代は全員お得意様セールスに就くことが決まっており、そこが魅力で入社しました。仕事はとてもやりがいのあるものでしたが、ますます成長するインバウンド領域をぜひ経験してみたいと思ったんです」
着任早々K.Nからは、「外商経験は必ず役に立つから、自分の意見や考えをどんどん発信してほしい」と声をかけられた。ファッション・雑貨領域を担当することとなったが、プロモーション業務には知識も経験もなく、ひとつずつ教わりながら業務を進めていくしかない。幸いチームには年次の近い先輩が多いので、何かと相談しやすい雰囲気があった。外商ではつねに個人プレーだったため、チームプレーがとても新鮮に感じられたと言う。
お菓子やこども服を詰め込んだ「お楽しみ袋」を、春節向けのプロモーションに提案したところ、企画が採用された。他の部署や店舗と連携しながらの準備はとても楽しかったが、手応えはほどほどというところだ。各所から日々届く意見や感想に耳を傾けながら、次回での大成功を誓う。
チームのミッションには大いに共感している。あるときK.Nが語った「ゆくゆくは『インバウンド担当』という存在さえもなくしたい。それくらい海外のお客さまへの対応が当たり前になることが私の理想」という話は、今も強く心に残っている。
「当初は、外国のお客さまに向けて特別なことをする部署だと思っていました。でも仕事をして気づいたのは、お得意様セールスで出会ったお客さまも、海外から来られるお客さまも、良い商品や優れたサービスに対して、同じように喜んでくださるということでした。私たちが本当に誇れるものを、海外のお客さまにも分け隔てなく体験していただきたい、今はそう考えています」
3年目社員、Y.Yの挑戦は始まったばかりだ。
変化と出会いを楽しみながら、
「そごう・西武らしさ」を
カタチにしていく
新チームができてもうすぐ1年を迎える。それまでインバウンド担当だけで完結していたものが、少しずつ全社的な取り組みへと拡大しつつある。K.Nは今が「潮目の変わるチャンス」だととらえている。
「売上においても施策においても、ずっと他社に追いつくことが目標でした。これまで積み上げてきたものを、良い意味で否定し続けたこの1年で、自分たちの強みも弱みも把握する事ができました。世界中のお客さまをターゲットに掲げた池袋本店のリニューアルオープンを控え、これからが正念場だと思っています」
そしてこの部署で約4ヶ月を過ごしたY.Yは、「当社はいま大きく変わろうとしています。旧来の百貨店という枠にとらわれず、業界全体に風穴を開けられるような存在になりたい。微力ながら自分もこのチームでその役割を果たせられたらと思います」と決意を新たにする。

最後に、そごう・西武の魅力をひとつあげてもらった。
「頑張っている姿を、つねに誰かが見てくれている会社だと思いました。このチームに異動できたのも、前部署での仕事を評価してくれる人がいたからです。だからこそ眼の前の結果だけにとらわれず、何年も先を見据えて取り組んでいきたいですね」(Y.Y)
「新しい挑戦を面白がれる集団なんです。たとえ辛い状況であっても一人ひとり熱い思いがあって、周囲のチャレンジを応援できる。そして何度転んでもまた立ち上がる。こんなタフな会社は他にないと思います」(K.N)
西武池袋本店のリニューアルオープンも間もなくだ。助走から、飛躍へ。理想を追い求めるK.Nたちのチャレンジは、いよいよ加速する。